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WMV VISVIM

目黒川沿いに佇む1970年代に建てられた一軒家を全面改装してオープンした「WMV VISVIM TOKYO」。柱や梁、屋根など建物の主構造を成す一部には元の素材が活かされていますが、その他は中村自身が一からデザインし築き上げた店舗です。

Category:Shops
Date:2020.02.25
Tags: #visvim #wmv #ダブリューエムブイ #中目黒 #安諸定男 #越前和紙

目黒川沿いに佇む1970年代に建てられた一軒家を全面改装してオープンした「WMV VISVIM TOKYO」。柱や梁、屋根など建物の主構造を成す一部には元の素材が活かされていますが、その他は中村自身が一からデザインし築き上げた店舗です。

建物の外と内を繋ぐように、外構と屋内床の高さは合わされ同じ素材が用いられています。床材にはさらに小石や砂利が混ぜ合わされており、塗り固めた後、乾き切る前に水洗いして石がチラチラと表面に出てくるように仕上げる「洗い出し」と呼ばれる技法が用いられています。石の他、古い瓦の破片なども埋め込まれており、職人の遊び心を見ることができます。

自然光を柔らかく反射する本漆喰の壁は、金沢の左官職人による仕事。吹き抜け部分の壁はひと続きで面積が広いため、一面を漆喰が乾いてしまう前に仕上げるには熟練の技が必要とされます。2F奥の壁には天然の素材を用いて薄ピンクに着色した漆喰が用いられており、床に敷かれた黄色のカーペットと相まって暖かな空間を演出しています。また、1F店舗奥には和紙を用いた腰壁が配され、壁一つとっても所々で異なる意匠を見ることができます。

一際目を惹く店舗中央に据え置かれた収納部の襖は、越前和紙の一つである「雁皮紙」に型摺染めを施したもの。「雁皮」とはジンチョウゲ科の植物で、栽培が難しいため原材料には野山に自生するものを使います。繊維が非常に細く、漉かれた紙はきめ細かな独特の光沢を持ち、虫害に強く保存性が高いため長い時間保管する書類などの記録物に最適な紙として知られています。「雁皮」から生じる卵殻のようにやや黄味がかった色味から「越前鳥の子紙」とも呼ばれるこの和紙は、国の重要無形文化財にも指定されています。

絵柄の色数は4色ですが、同色部分でも数版の型を使い染め分けることで、自然な染めムラのある表情豊かな襖に仕上げられています。

杉皮葺きの屋根が特徴的な編笠門の暖簾を潜った先、竹穂垣の奥に広がる庭は、この道60年余りの作庭師・安諸定男氏によるもの。土や藁を混ぜ合わせて塗り込んだ土塀や、杉皮の壁、古い瓦を使用した屋根の造作、階段部の石組みなど、建物の雰囲気に寄り添う熟練の仕事を見ることができます。また、先に述べた屋内床の「洗い出し」も、素材と小石、砂利の配合や仕上げについては安諸氏の監修によるものです。

二階の窓から見ることができるのは、全て特注で設えた銅板葺きの屋根や、同じく銅製の雨樋。経年により神社仏閣などで見られるような緑青に覆われた表情を見せてくれるはずです。また、吹き抜け部の提灯にも同様の特注銅製重化が用いられています。

この他にも、中村の妻であり、<WMV>のデザイナーであるケルシーが制作した陶製の店名サインや、中村がフリーハンドで下絵を描き、それを木工職人が彫り上げた襖上の欄間、特注の門戸やカウンター、彫刻台、取手などの細部に至るまで。「WMV VISVIM TOKYO」はご来店いただく度に発見があるであろう、手仕事が随所に施された店舗です。「伝統的な」と一括りにされるようなものだけでなく、新しさも感じさせる手仕事の一つ一つを発見し、経年により美しく変化していく姿を一緒に楽しんでいただけましたら。

 

WMV VISVIM TOKYO」では、レディースブランド<WMV>をメインに、<visvim>の商品も取り揃えている他、<little cloud coffee>も提供しております。皆様のご来店をお待ちしております。

WMV VISVIM TOKYO
東京都目黒区青葉台1-22-1
03 6303 3717