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Dissertation

visvim Fall and Winter 2026

古くからある天然繊維を使って、現代の化学繊維のような質感を生み出すという実験に長く取り組んでいます。

Category:Philosophy
Date:2026.07.28
Tags: #fw26 #visvim #天然繊維で化学繊維を表現する

天然繊維で化学繊維を表現する

古くからある天然繊維を使って、現代の化学繊維のような質感を生み出すという実験に長く取り組んでいます。そもそもナイロンやポリエステルといった化学繊維は、コットン、ウール、シルクなどの天然繊維の"代替物"として生まれてきた歴史があります。より安価で早く製造でき効率が良い、物性が安定しているなどの理由から普及が進む一方で、天然繊維が持つ優れた風合いや機能性が忘れられてきた面があります。

僕たちが取り組んでいるのは、こうした流れとは逆の、化学繊維的な質感を天然繊維の良い部分を活かしながら作り出すというもの。数年前からシルクを使ってナイロン的な素材を作ってきましたが、今シーズンはこれをウールで実現しました。17.5μの極細のウォッシャブルウールを使っているので肌触りはすごく柔らかいし、泥染めなどの染色加工がしやすくなったことで、より深みのある風合いが表現できるようにもなりました。(*1

ナイロンだけでなく、フリース素材を天然繊維で表現する試みも続けています。これまでウールフリースは「織地」によって作ってきましたが、今シーズンはそれを「編地」で表現してみました。伸縮性があり、裏地を貼る必要もない。毛足の長い初期のフリースのような質感を持ちながら、ポリエステルよりも透湿性が高く、暖かい。質感、着心地ともに新しい魅力を備えた素材が生まれました。(*2

これまでにないプロダクトを開発するには、長い時間の積み重ねが必要で、何年も少しずつテストして改良を続けてきました。もちろん今、取り組んでいる最中でまだ完成していないプロジェクトもたくさんあります。しかし、こうしたものづくりに欠かせないパートナー となるサプライヤーは、日本でも海外でも少なくなってきています。それは、合理化・効率化を求めるファッション産業の大きな流れと逆行している部分があるから。そんな状況の中で、ただ古くからあるものを維持するだけでなく、新しい視点と発想でものづくりを考え 直し、過去の遺産を現代のマーケットにつなげていくのが、僕らの役割なのかなと思っています。

*1 0126205013014 WINDFALL COACH JKT

*2 0126205013017 BARLOW P.O.

Dissertation on In Harmony We Trust

visvim Fall and Winter 2026

文:井出幸亮

写真、動画:深水敬介